これまでヨーロッパの中でも特に保守的な国として知られてきたポーランドで、歴史的な変化が起きました。
2026年5月、ポーランド政府は、他のEU加盟国で合法的に結婚した同性カップルについて、ポーランド国内でも正式な「夫婦」として認める対応を初めて行いました。
同性婚が法制化されていないポーランドにおいて、これは非常に大きな転換点と言えます。
なぜポーランドでは同性婚が認められてこなかったのか
ポーランドは、ヨーロッパの中でも特にカトリック(キリスト教)の影響が強い国です。
国民の多くが敬虔なクリスチャンであり、家族観や結婚観にも宗教的価値観が深く根付いています。
そのため、長年にわたり、
- 「結婚は男女のもの」
- 「伝統的な家族制度を守るべき」
- 「LGBTQの権利拡大は価値観を壊す」
という考え方が政治にも強く影響してきました。
特に近年のポーランドでは、保守政党「法と正義(PiS)」政権のもとで、LGBTQに対して厳しい姿勢が続いていました。
実際に、一部の自治体では「LGBTフリーゾーン(LGBT排除区域)」を宣言し、LGBTQの権利擁護活動を制限する動きもあり、国際的に大きな批判を受けていました。
欧州連合(EU)はこれを深刻な人権問題とみなし、2020年には一部自治体への補助金停止措置を実施。さらに2021年には、EU基本条約に違反しているとして法的手続きに踏み切っています。
EUの判決がポーランドを動かした
今回、正式に夫婦として認められた同性カップルは、2018年にドイツで結婚していました。
しかし、ポーランド国内では婚姻登録を拒否され続けたため、欧州司法裁判所(ECJ)まで争うことになります。
そして欧州司法裁判所は、
「EU加盟国内で合法的に成立した同性婚については、他の加盟国も法的に認める必要がある」
という判断を示しました。
この判決を受け、ポーランド最高行政裁判所もワルシャワ市に婚姻登録を命令。
2026年5月、ワルシャワ市はついに同性カップルの婚姻証明書を正式に交付しました。
ワルシャワ市のラファウ・トシャスコフスキ市長は、
「今後は裁判所命令がなくても、同性婚を積極的に認めていく」
と表明しています。
ポーランド社会はいま変わり始めている
現在のトゥスク首相は、2023年の政権交代時にLGBTQの権利拡大を公約に掲げていました。
今回の件についても、
「長い間拒絶され、傷つけられてきた人々に謝罪したい」
とコメントしています。
ただし、国内では依然として保守派や宗教勢力の反対も強く、同性婚の完全合法化にはまだ時間がかかる可能性があります。
それでも今回の判決によって、EU加盟国で結婚した同性カップルについては、事実上ポーランドでも法的夫婦として認められる流れが生まれました。
これは、これまで厳しい状況に置かれてきたポーランドのLGBTQ当事者にとって、大きな希望となる出来事です。
世界では少しずつ変化が進んでいる
同性婚をめぐる制度や価値観は、国によって大きく異なります。
しかし近年は、宗教的・保守的な背景を持つ国でも、少しずつ変化が起き始めています。
「自分らしく生きること」
「愛する人と家族になること」
その権利を認めようとする流れは、世界全体で少しずつ広がっています。
ポーランドで起きた今回の変化は、その象徴的な出来事の一つと言えるのかもしれません。
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