【解説】トランプ大統領のLGBTQ+政策撤廃がもたらす危機

アメリカ

アメリカでLGBTQ+の権利をめぐる状況が急激に悪化しています。 2025年1月、トランプ大統領が就任直後に発表した一連の大統領令により、トランスジェンダーを中心としたLGBTQ+コミュニティへの支援が大幅に削減され、法的保護が次々と撤廃されつつあります。

この動きによって、当事者やその家族がパニックに陥り、支援団体のホットラインへの問い合わせが急増しているそうです。 また、専門家はトランスジェンダーの若者の自殺リスクが高まることを強く警告しています。

トランプ大統領の「二つの性だけ」という発言により、具体的にどのような政策が撤廃され、今後どんな影響が考えられるのかを解説したいと思います。

何が起きているのか? トランプ大統領の大統領令の内容

1. トランスジェンダーの存在を否定する「2つの性」政策

トランプ政権は、政府が認める性を「男性」と「女性」のみとする大統領令を発表しました。これにより、政府機関の文書や政策から「Xジェンダー」や「ノンバイナリー」という概念が排除され、パスポートの性別「X」選択肢も廃止される方針です。

2. 未成年の性適合医療の全面禁止

19歳未満の若者に対するホルモン治療や性別適合手術への資金提供が全面的に禁止されました。トランスジェンダーの子どもを持つ家庭は、適切な医療を受けるために州を越えて移動する必要が生じており、すでに20時間以上の移動を強いられるケースも起きています。

3. トランスジェンダーの受刑者の保護撤廃

女性刑務所に収容されていたトランスジェンダー女性の受刑者が、隔離施設に移されたり、男性刑務所へ移送されるケースが報告されています。これにより、受刑者が暴力や性的虐待のリスクにさらされる危険性が指摘されています。

4. トランスジェンダーの軍務禁止

トランプ政権は、トランスジェンダーの兵士が「軍人としての精神に適さない」として、軍務を禁じる大統領令を発表。この決定に対し、現役のトランスジェンダー兵士6人が違憲として訴訟を起こしました。

5. LGBTQ+の権利をさらに狭める「プロジェクト2025」

トランプ氏は「プロジェクト2025」と呼ばれる保守派の政策計画とは関係がないと主張しているものの、その関係者を政権に起用しています。このプロジェクトは、同性婚カップルの養子縁組を禁止し、政府機関で「性的指向」や「ジェンダー」といった言葉の使用を制限することを提案しています。

なぜ問題なのか? 影響を受ける人々

1. LGBTQ+の若者の自殺リスクの増加

LGBTQ+の若者の自殺防止に取り組む団体「トレバー・プロジェクト」は、トランスジェンダー支援政策が撤廃されることで自殺率が確実に上昇すると警告しています。 特に、未成年に対するホルモン治療が禁止されることで、心身の不調を訴える若者が増加すると考えられます。

2. LGBTQ+ヘイトクライムの増加

FBIの報告によると、2023年にLGBTQ+を標的とするヘイトクライムは過去最多を記録しました。 特に、性自認を理由とした攻撃は前年より16%増加、性的指向を理由とする攻撃は23%増加しています。

3. LGBTQ+の家族やカップルの法的権利の侵害

弁護士団体によると、同性婚のカップルやトランスジェンダーの子どもを持つ親たちから、「自分たちが合法的な家族ではないと突然言われるのではないか」という不安の声が多数寄せられています。

今後何が起こるのか?

トランプ政権の政策がこのまま進めば、以下のような事態が予想されます。

  1. LGBTQ+の人々が安心して暮らせない社会に
    性的指向や性自認に基づく法的保護が次々と撤廃され、職場や公共の場での差別が合法化される可能性があります。
  2. トランスジェンダー医療の国外流出
    国内で適切な治療を受けられない未成年や成人のトランスジェンダーが、海外で医療を受けざるを得なくなるかもしれません。ですが、費用や法的リスクが大きいため、全員がその選択肢を選べるわけではありません。
  3. 他国への波及
    アメリカの反LGBTQ+政策が他国にも影響を及ぼし、同様の法改正が世界的に進む恐れがあります。
    特に、日本ではLGBTQ+の法的保護が未整備のため、アメリカの動向が今後の政策に影響を与える可能性があります。

日本でも無関係ではない:LGBTQ+の権利を守るために

日本でもLGBTQ+の権利はまだ十分に守られているとは言えません。アメリカの流れが日本にも波及すれば、今後LGBTQ+の権利がさらに脅かされる可能性があります。

  • 現状、日本には同性婚を認める法律がなく、トランスジェンダーの法的認知も厳しい条件がつけられています。
  • ヘイトクライムに関する法整備も不十分であり、性的指向や性自認を理由とした差別が日常的に発生しています。

私たちにできることは、こうした動きを知り、声を上げ続けることです。 アメリカで起きていることを「遠い国の話」として片付けるのではなく、日本でもLGBTQ+の権利を守るための行動が求められているのではないでしょうか。

参照したロイターの記事はこちら

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